私たちが毎日当たり前のように使っている「寝具」
しかし、その形や使い方、習慣は国や地域によって大きく異なることをご存じでしょうか?
日本では布団や畳、四季に合わせた寝具の使い分けが根付いていますが、海外ではまったく異なるスタイルが主流です。今回は、世界の寝具文化をいくつかピックアップしながら、日本との違いを比較してみたいと思います。
日本:布団文化と四季への対応

まずは私たちの国・日本
日本の寝具といえば、「敷き布団」と「掛け布団」が基本。特に昔ながらの生活では、畳の上に敷き布団を直接敷いて寝るスタイルが一般的でした。
日本の特徴的な点は、四季に合わせて寝具を調整する文化があること。夏はタオルケットや接触冷感素材の寝具、冬は羽毛布団や毛布などを使い分けます。
湿度が高く気温差の激しい日本では、こうした細やかな工夫が快眠の鍵となっています。
また、「押し入れ」文化も日本独自の特徴のひとつ。日中は布団を片づけて空間を広く使い、夜に敷くという生活スタイルが根づいています。
ではここで、日本の生活スタイルに合わせて作られている寝具を一部ご紹介します。
アメリカ:ベッドルーム文化とボリューム重視

アメリカでは、ベッドが寝室の中心にどっしりと構える「ベッドルーム文化」が一般的です。
厚みのあるマットレスとボックススプリング(マットレスの土台)を重ねて使用し、寝心地の良さとボリューム感を重視します。
寝具は「コンフォーター」や「キルト」、「ブランケット」などの多層構造になっており、上からベッドスカート、シーツ、掛け布団、ピローシャム付きの枕などを重ねて整えます。見た目も重視されるため、インテリアとしての役割も大きいのが特徴です。
また、日本のように「干す」文化はあまりなく、基本的には洗濯機で定期的に洗うことが前提です。
ヨーロッパ:シンプルで機能的なデュべスタイル

ヨーロッパ(特に北欧諸国やドイツ、フランスなど)では、「デュベ(duvet)」と呼ばれる掛け布団をカバーに入れて使うのが主流です。デュベカバーは定期的に洗濯されますが、布団自体はあまり頻繁に洗わないのが一般的です。
シーツに関しては、ボックスシーツ(マットレスを覆うゴム付きのシーツ)とデュベカバーのみというシンプルなスタイル。重ね敷きやブランケットなどはあまり使われません。見た目もスッキリしており、掃除やベッドメイキングも効率的です。
また、夫婦やカップルでも、それぞれが別のデュベを使う「個別布団」スタイルが浸透している国もあります。これは、お互いの快適な温度や寝返りの自由を尊重する考え方からきています。
アジア諸国:中国・韓国などの寝具スタイル

日本と同じアジア圏でも、寝具の文化は微妙に異なります。
たとえば中国では、都市部ではベッドスタイルが一般的ですが、地方によっては「カン」と呼ばれる土台付きの暖房ベッドを使う地域もあります。掛け布団は厚く、重さのあるものが好まれる傾向があります。
韓国では「ヨ」と呼ばれる敷き布団を床に敷いて寝るスタイルが昔ながらの形であり、オンドル(床暖房)と組み合わせて冬もあたたかく過ごせるよう工夫されています。
どちらの国でも「寝具を収納する」というよりは、「ベッドの上を整える」という文化が強く、見た目の美しさも重視されています。
国によってここまで違う!その背景とは?
こうした寝具文化の違いは、気候・住居環境・生活スタイルの違いから生まれたものです。
たとえば高温多湿な日本では、湿気対策が重要になるため「干す」文化が発達し、逆に乾燥している欧米では「洗濯する」文化が中心になります。
また、住宅事情も影響しています。限られたスペースを有効活用する日本では、布団の収納が前提の暮らしが多く、広い空間のある欧米では大きなベッドを固定して置くスタイルが一般的です。
「快適な眠り」を求める気持ちは世界共通ですが、そのアプローチや価値観には多様性があるというのは、とても興味深いですね。
まとめ:世界の寝具文化をヒントに、自分らしい眠りを
日本と海外の寝具文化を比較してみると、それぞれに合理的で魅力的な工夫があることがわかります。
生活スタイルやお部屋の広さ、好みに合わせて、少しずつ取り入れてみるのもおすすめです。
たとえば、ヨーロッパ式のデュベスタイルでベッドまわりをスッキリさせてみたり、アメリカ式にインテリアとしての寝具を楽しんでみたり。
逆に、布団を干す日本の知恵を見直して、快眠の質を高めてみるのも良いかもしれません。
世界の文化を知ることで、自分の「ねごこち」もアップデートしてみませんか?