ふんわり羽毛は暖かくてかるい!・・・でもお値段的にも何も知らないまま買うのは不安。そんなアナタのための基礎知識。
グースとダックの違い
グースは日本語ではガチョウ、ダックは日本語でアヒルのことです。
一般的に同じ水鳥の羽毛でもダックよりグースの方が以下の点において機能的に優れており、原毛の価格も一部の例外を除きグースの方が高額です。
- 一般的にダックよりグースの方が大きなダウンが採れやすい。
- グースの方がダウンの羽枝にコシがありダウンが壊れにくい。
- ダックに比べグースの方がダウン同士が絡まってだんごになりにくい。
産地がココだからいい!は正しくはありません。
羽毛ふとんは、主にガンカモ科の家禽であるガチョウ(がちょう-グース/Goose)と家鴨(いえがも-ダック/Duck)の羽毛が使用されています。
なお、極地のみに生息するアイダー(Eider)という野生の鴨のダウンなども、希少価値の羽毛として特殊高級用品に僅かな数量が使われております。
ガチョウの原種はヨーロッパ原産のハイイロガン、南米原産のサカツラガンであり、ハイイロガン系の品種は主に欧米で、サカツラガン系の品種は主にアジア、アフリカで飼育されています。ガチョウは美味な肉と肝臓(フォアグラ)を採るために飼育され、羽毛はどちらかというと副産物といえます。
鴨、アヒルの原種はマガモで、ヨーロッパ、中国で古くから品種改良が進んだため、今日では沢山の品種がでてきましたが、殆ど食肉用と採卵用として飼育されています。ヨーロッパでは大型のルーアンダック、中国,東南アジアではチャイニーズダック,ペキンダックなどが代表にあげられます。
羽毛の産地による違い
産地だけで決めないで!
羽毛の主な産地は北半球に位置し、中国・ハンガリー・カナダ・ポーランド・チェコなどが代表的な国としてあげられます。一般的にはより経度の高い(寒い)地域や寒暖の差が激しい地域で採れた羽毛が高品質と言われております。しかし、同じ国で生産された羽毛でもその国内での産地や飼育方法により羽毛品質が異なりますので一概にポーランドの羽毛は良くて中国は悪いというような区別の仕方はできません。
また、残念なことですが最近はヨーロッパの産地や台湾での洗浄過程でハイイメージな産地の羽毛に中国産の安い羽毛が混入されているのが事実です。
ダウン比率について
ふかふかダウンとちくちくフェザー
ダウン比率は専門用語では組成混合率といいます。ダウンと一口に言っても空気の層をたっぷり含んだダウンのほかに、わた毛のまばらな未熟ダウンや、一見ダウンに見まちがう類似ダウン(フェザーの仲間ですが立体的な構造のもの)などいろいろあります。
これらの「ダウン」はわた毛が短かったり、平面的だったりひずんでいたりして空気をあまり含みません。検査方法によってはこのような物もダウンにカウントする場合があります。よってダウン比率もあくまで目安であり、品質を決めるすべてではありません。
また、検査方法も新規準、旧規準といった方法があったり日本羽毛寝具製造協同組合ではダウン比率の表示は5%刻みと決められておりますが、西川三社と小杉商事は独自規準に基づき92%等の5%刻みではない表示を行っております。
更に悪質な業者は、海外での規準をあたかも国内の規準であるかのように消費者に誤解を与えるような表示を行っている物もあるので、非常に消費者にとってはややこしい限りであります。
ハンドピックについて
ハンドピックとはメーカーによりハンドプラッキングとかハンドピクトと呼ばれることがありますが全部同じ意味です。これらは鳥からの羽毛を採取する方法で大きく分けると以下のようになります。
マシーンピック(機械摘み)、ハンドピック(手摘み)、ライブハンドピック(生きた鳥から手摘み)
一般的に価格はマシーンピック→ハンドピック→ライブハンドピックの順で価格が高くなります。また、同じ順番で採取されたダウンの傷みが少ないと言えます。
詳細説明
フェザーやダウンの採取方法としてマシーンピック(機械採み)、ハンドピック(手採み),ライブハンドピック(生きた鳥からの手採み)の方法があります。
ここでは特に優れた羽毛を採取できるライブハンドピックについて説明をしたいと思います。昔から、生きたガチョウの羽毛を採取するライブハンドピックは広く行われていました。適切なライブハンドピックとは羽毛が成長したとき、つまり、血が出ないで済み、皮膚にゆるくついているだけのときに行われます。
最高級の羽毛を得るためには、採取方法の細かい知識が必要となり、その通り守らなければならない厳密なルールが存在します。まず胸から腹部のフェザーを採取し、その後ダウンを採取します。ダウンはフェザーと違い全部というわけではなく非常に注意深くまばらに採取するのみとなっています。
水鳥は天候にも左右されますが通常生後12週間~14週間で成熟します。このとき初めてのライブハンドピックを行います。第1回目に採取された羽毛は黄色味を帯び、かさ高性も充分とはいえません。その後6~7週間で再び羽毛が生えそろい次のライブハンドピックとなります。
このように2回目、3回目とライブハンドピックを行うに従い品質の良いものが採取できるようになり、3回目の頃になると水鳥も充分に成熟しているため、一般のマシンピックされた羽毛に比べダウンが大きく、小羽枝密生度が高くなおかつ弾力性に富み、かさ高性のある優れた羽毛を得ることができます。
※ただし、現在ではハンドピックと表記しなくなっております。
マザーグース・マザーダックについて
一般的に羽毛は食用に飼育した水鳥から採取されます。鳥の肉は通常若鳥が美味しく要望も多いため生後2~3ヶ月程度で食用となり、羽毛の採取も同時に行われます。一方、本来卵を採取するために飼育されている鳥をマザーグース、マザーダックと呼びこれらの鳥から採取された羽毛は成熟しておりますので大きくコシがあり長持ちします。
※マザーグースの飼育期間は6ヶ月~5年以上とこれも同じマザーグースでもピンからキリまであります。
- 羽毛寝具要覧(日本羽毛寝具製造共同組合編)
- ダウンってなぁ~に?(西川産業)
- ロマンスコレクション2000(小杉商事編) 他