羽毛布団を買いたいけど、市場にはピンからキリまで幅広い価格帯の商品が販売されており、何を基準にしてどう選べば、自分に合っている商品が見つかるのか分からない。
「どの羽毛布団を買えばいいですか?」と当店にも、よくご質問をいただきます。
そこで、少しでも羽毛布団選びの参考にしてもらおうと、この選び方のページを作りました。
そうだ!羽毛布団を買おう!となった時に、ご活用いただければ幸いです。
羽毛布団を選ぶ時の基準とは?
羽毛布団の要素は大きく分けて3つ。
- ダウン(羽毛)-ダック・グース・マザーグースなど
- キルト(法制)-立体キルト・完全立体キルト・ツインキルトなど
- 側生地-綿や合繊など
この3つの要素が高水準でバランスよく作られているほど、良い羽毛布団という事になります。
羽毛布団はダウンジャケットを例に考えると、どの要素がどう影響するのか考えやすくなります。
良いダウンを入れたジャケットでも、側生地がカサカサする質の悪いものだったら良さも半減しますし、細かなブロックに分かれたこだわりのウェアであっても、中に入っているダウン自体の質が悪いと羽毛の臭いが気になったり、羽の軸が縫い目から飛び出してきたりと総合的な良さは出ません。
羽毛布団もダウンジャケットと同じで、羽毛だけが良くても、100%羽毛布団の温かさが発揮されるとは言えません。
例えば、ダウンパワー440dpの高品質なダウンをたっぷり1.2kg使った羽毛布団を作ったとしても、側生地がポリエステル100%で、キルトを4×5マスの立体キルトであれば、身体にフィットしにくいため暖かい空気を十分に含めない、また通気性が悪く寝苦しさに繋がるなどの理由で、本来の羽毛の持つ力を100%発揮できないと言う事が起こってしまいます。
また良い羽毛であれば、充填量をそれほど多くしなくても、例えば1.0kgでもキルトや側生地との総合的な物作りによって、ダウン85%が1.2kg入った物よりも快適な羽毛布団が出来上がります。
つまり、良いダウンにこそ、良いキルト、良い側生地を使ってある物を選ぶ必要があります。
ダウン(羽毛の種類)で選ぶ
羽毛の中身には、主に「ダック(あひる)」または「グース(ガチョウ)」のダウンが使用されています。そして多くのふとん屋さんや、専門店ではダックではなくグースを使った羽毛布団をおすすめしています。それには暖かさ以外の2つの理由があります。
「ダック」は安価ですが少し羽毛特有のニオイが強いという欠点があります。
ダックは雑食性で、何でも食べるのに対し、グースは草食性の傾向が強い水鳥です。植物類を主とした食料で育ったグースは、ダックに比べて水鳥特有の獣毛臭が薄くなります。もちろん完全になくなるわけではないのですが、あの独特のニオイが苦手と言う方には是非お試しいただきたいぐらいの差がございます。
動物園の鳥ゲージ内の臭いがダメな方は、ダックを買うならば覚悟をした方が良いかもしれません。
良い状態が長続きしやすい
羽毛を拡大していくと小羽枝と呼ばれるフシがあります。グースはこの小羽枝が細く密生していて均等に配置されているのに対し、ダックは繊維が太く、先端に偏っています。そのため、子羽枝の自重でどんどん丸まってしまい、玉ダウン(劣化した羽毛)になりやすい構造です。玉ダウンになってしまうと、クリーニングなどをしても元のふっくらとした状態には戻りにくくなってしまい、良い状態とは言えなくなります。
羽毛布団は、この3つの要素が高水準でバランスよく作られている布団ほど、良い羽毛布団という事になります。
「マザー(親鳥)」はより保温力&耐久性がアップ!
通常、生後2~3ヶ月のうちに羽毛の採取がされますが、生後6ヶ月以上飼育された鳥は、「マザーダック」「マザーグース」と呼ばれます。
これらの鳥から採取された羽毛は成熟しておりますので、羽毛が大きく、コシがあり、長持ちします。通常のダックダウン、グースダウンよりワンランク上の羽毛と言えますが、その分価格が高くなります。
ダックダウンの中でも「アイダーダック」の羽毛は非常に保温力に優れますが、同時に非常に希少価値が高くとても高額な商品です。
「ホワイトダウン」と「シルバーダウン」の違い。
羽毛の色の違いだけで、品質的にはほぼ違いはありません。グレー色のダウンの混入率によりホワイトダウン・シルバーダウンの表記が代わります。
「シルバーダウン」の方がグレー色の羽毛が多く混入しております。そのため生地が無地の生成りやホワイトの場合、中のグレー色の羽毛が透けて見えることがございます。
一般的にはホワイトダウンの方が人気がありますが、同品質のダック・グースであれば色による暖かさの違いはまずありません。ホワイトダウン表示の場合もグレー色の羽毛がまったく混入していないわけではございません、予めご了承ください。
白さにこだわりたいという方には、品種改良を重ねて徹底的に白さを追求したANIMEXのポーランド産グースダウンをおすすめいたします。白さだけでなく品質も一流の羽毛です。
「羽毛布団」と「羽根布団」の違い。
「羽毛(うもう)布団」と「羽根(はね)布団」は、言葉が似ているため同じものと思われている方も多いのですが、実際にはまったく異なるものです。ダウン比率が50%以下のものが、羽毛布団ではなく羽根布団と呼ばれます。羽根布団は羽毛布団に比べて安価ですが、その分保温力に劣り、羽根の芯が感じられます。
暖かい羽毛布団を「羽毛の種類」で選ぶなら
「ダック」より「グース」、「グース」より「マザーグース」が質の良い羽毛の種類になります。
ダウン90%などダウン比率の表記がある場合は、ダウン比率が大きいほど暖かいといえます。
キルトで選ぶ
キルトの役割とは
羽毛布団のキルトには、大切な役割があります。
1つ目は、羽毛の片寄りを防ぐこと。羽毛は流動性のある素材です。布団を使用しているうちに、羽毛が片寄ってしまい、部分的に寒くなる。そういったことを防いでくれます。
2つ目は、羽毛布団に空気の層をつくること。キルトの一つ一つのブロックに羽毛を入れることで、まんべんなく、たくさんの空気層ができます。空気層には暖まった空気を蓄えるので、保温性が高まります。
3つ目は、布団が体に沿いやすくすること。キルティングすることによって、体に沿いやすい形になり、熱を閉じ込めやすくします。
羽毛布団のキルトの種類について
羽毛布団のキルトの種類には、平面キルト(タタキキルト)、立体キルト、二層キルト(ツインキルト)があります。羽毛布団で多く流通しているのは、立体キルトです。冬用の羽毛布団をお考えなら、立体キルトか、さらにあたたかい二層キルトをおすすめします。
平面キルト(タタキキルト)
表生地と裏生地をそのまま縫い合わせた、もっとも単純なキルティングです。
縫い目の部分に羽毛が入らないので熱が逃げやすく、冬用の羽毛布団にはほとんど使用されておりませんが、春・夏用の羽毛肌掛け布団(ダウンケット)の場合はこのキルティングが主流となっております。
立体キルト
現在、冬用の羽毛布団でもっとも一般的なキルティングです。
表生地と裏生地との間にタテにマチを作ることで高さ(厚み)を確保し、羽毛が全面に行き渡るようにして、熱が逃げるのを防ぎます。
完全立体キルトとは。
キルティングしているからといっても、使っていくうちに羽毛の吹き込み口からだんだん羽毛がずれて片寄ってきます。そこで、特殊な方法を使って吹き込み口を防ぎ完全に片寄りを防いでしまう完全立体キルトが出てきました。
羽毛の移動や片寄りを防ぐので長時間均等な暖かさが得られることがポイントであり、元々保温力に優れた高品質の羽毛に多く採用されています。非常に手間とコストがかかるため、完全立体キルトの羽毛布団はあまり流通していません。
二層キルト(ツインキルト)
上下のキルティングを変えて2枚合わせの二層構造にしたキルト方法。キルトの位置をずらすことで、羽毛の片寄りを防ぎ、立体キルトに比べ、フィット感・保温性がアップします。また、立体キルトより高価になります。
生地で選ぶ
羽毛布団と相性のいい生地とは?
羽毛布団に使われる代表的な生地には以下のものがあります。
- 合繊生地(ポリエステルと綿が混じっているもの)
- 綿、超長綿生地
- シルク生地
その中で最もおすすめなのが、「超長綿(ちょうちょうめん)」の生地です。
合繊生地
最近の羽毛布団の生地には、合繊生地(ポリエステル混)が多く使われるようになってきました。
合繊生地のメリットとしては、コストが安く、軽量という点が挙げられます。また、最近ではピーチスキン加工など、非常にやわらかくて肌触りのいい加工が施されているものが数多く出てきました。
しかし、綿素材が吸湿性があるのに比べ、合繊生地は基本的に吸湿性はなく、蒸れやすいのが欠点です。
綿、超長綿生地
天然素材である綿(コットン)は羽毛布団との相性も抜群です。綿生地は、肌触りがよく、吸湿性に優れ、ムレ感を軽減します。
中でも、超長綿は通常の綿よりも繊維が長い綿で、ソフトでしなやか、身体に優しくフィットして「ガサガサ」感もありません。また通常の綿より吸湿性や通気性に優れています。
60超長綿、80超長綿などの数字は「番手(糸の太さ)」を表しており、数が大きいほど糸が細く、柔らかくて肌触りの良い生地を表しています。
シルク生地
羽毛布団の生地で最高級となるのが、シルクの生地です。
一般的に良い肌触りを求めているのであればシルク(絹)100%の素材が良いのですが、シルクの場合、綿に比べて側素材の値段が高く、耐久性も劣ります。
ゴールドラベルで選ぶ
暖かさの目安、「ゴールドラベル」と「ダウンパワー(dp)」について
日本羽毛製品協同組合の定める「ゴールドラベル」(品質保証ラベル)は、羽毛のダウンパワーにより4段階にランク分けされており、羽毛布団を選ぶ上で暖かさの目安となります。
また、「ダウンパワー(dp)」とは羽毛のかさ高性を現す基準です。羽毛原料1gあたりどれほどの体積を持つか、という数値です(cm³/g)。ふくらみが大きいほど、より多くの空気を溜め込むことができます。
ゴールドラベルはランク順に4種類
ニューゴールドラベル
- 使用羽毛品質 ★★★
- かさ高120mm以上
- ダウンパワー300cm3以上
このラベルの付いている羽毛ふとんは、日本羽毛製品協同組合の品質基準(組成混合率、ダウンパワー、清浄度など)に合格した羽毛原料と優良な側生地を使用し、適正な縫製で仕上げられた羽毛布団です。
エクセルゴールドラベル
- 使用羽毛品質 ★★★★
- かさ高145mm以上
- ダウンパワー350cm3以上
このラベルの付いている羽毛ふとんは、日本羽毛製品協同組合の品質基準(組成混合率、ダウンパワー、清浄度など)に合格した優れた羽毛原料と優良な側生地を使用し、適正な縫製で仕上げられた羽毛布団です。
ロイヤルゴールドラベル
- 使用羽毛品質 ★★★★★
- かさ高165mm以上
- ダウンパワー400cm3以上
このラベルの付いている羽毛ふとんは、日本羽毛製品協同組合の品質基準(組成混合率、ダウンパワー、清浄度など)に合格した最高級の羽毛原料と優良な側生地を使用し、適正な縫製で仕上げられた羽毛布団です。
プレミアムゴールドラベル
- 使用羽毛品質 ★★★★★★
- かさ高180mm以上
- ダウンパワー440cm3以上
このラベルの付いている羽毛ふとんは、日本羽毛製品協同組合の品質基準(組成混合率、ダウンパワー、清浄度など)に合格した最高級の羽毛原料と優良な側生地を使用し、適正な縫製で仕上げられた羽毛布団です。
の4段階があり、ダウンパワーが高いほど、高価で暖かい商品とお考え下さい。おすすめは400dp以上の羽毛布団です。(生地やキルトにより体感的な暖かさはやはり変わってきますので、あくまで目安にしてください)
西川、昭和西川、ロマンス小杉、京都金枡などの大手寝具メーカーはゴールドラベルは付いておりません。
東京西川(西川産業)、西川リビング、京都西川、昭和西川、ロマンス小杉、京都金桝といった品質の高い羽毛布団を製造しているメーカーでは、それぞれ独自の厳しい品質基準を設けて製造しているため、ゴールドラベルによるランク付けを行っていません。
ゴールドラベルは暖かさの目安にはなりますが、付いていないからといって、品質が悪いとは一概にいえないのです。ゴールドラベルだけに囚われすぎないよう注意が必要です。